DX セミナー&ニュース

【2024/6/6(木)開催】
神戸市中小企業DXセミナー レポート

レポート

中小企業のDX最新状況とデジタル化・DX推進のポイントをテーマに経済産業省の近畿経済産業局次世代産業情報政策課に所属する竹村 祐樹氏と中小企業診断士でありお助け隊アドバイザーの奥澤 崇氏よりご紹介していただきました。

1.中小企業におけるDXの最新状況とDX実現に向けた支援策

竹村 祐樹 氏
(経済産業省 近畿経済産業局 地域経済部 次世代産業・情報政策課 総括係長)

なぜ今「DX」を進めなければならないのか

今回皆様には、中小企業におけるDXの最新状況とDX実現に向けた支援策をいくつかの項目に分けて伝えたいと思います。

まずDXとは何か。経済産業省では「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズをもとに製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織プロセス、企業文化風土を変革し競争上の優位性を確立すること」と定義しています。中でも「競争上の優位性を確立すること」がDXの本質だと我々は捉えております。
ただいきなりこのレベルまで進めるのはハードルが高いのではないでしょうか。そこで、DXまでの過程を各プロセスに分解しました。最初はアナログな作業をデジタルに移り変える「デジタイゼーション」。次は「デジタライゼーション」と呼ばれる、デジタルツールから得られるデータを活用する段階があります。これがとても重要なポイントで、このデータの活用を進めることによって、新規ビジネスモデルの創出に繋がり、そして、それを実現するために組織が変革していく、これらがまさにDXなのだと考えています。

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では、なぜ今、DXが必要と言われているのか。その理由の一つに、日本の人口減少が関係しています。不確実性が増したと言われるこの時代の中でも、人口動態の推計は不確実性が低いと言われています。日本の将来人口は2050年に約1億人まで減少すると言われており、そのため労働力不足が予想されることから、必然的にデジタルを活用した省力化は重要になってきます。
ただし、問題はそれだけで終わらず、国内をターゲットにビジネスをしている企業は、市場の縮小も予想されます。顧客のパイが小さくなる市場において、ますます競争が激化する中で選ばれる企業にならなければならず、そのためには、時代・顧客のニーズに即したビジネスモデルに変革する重要性が高まっているのです。

また、実際にDXを実現した企業がどのような効果を得ているのか。アンケートからは、デジタライゼーションからDXのステップへ進むにあたり、労働生産性が変わるだけではなくて売上高も大きく変化しているというようなデータも得られました。これをDXの実現を目指すメリットと捉えてもらえればと思います。

ここまでで、DXの必要性と効果をご紹介させていただきましたが、日本国内でどれだけの企業がDXを進めているのか。先ほどのプロセスの段階でいうと、「デジタイゼーション」の領域が約半数の45.9%、「デジタライゼーション」が約30%、DXに至っているのが4%程度であるという結果がでました。中小企業においてはまだまだ少ない状況です。

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経済産業省・近畿経済産業局が行うDXの支援案内

そのため、経済産業省や近畿経済産業局では、さまざまなDX実現に向けた支援策をご用意しております。今日は、その中のいくつかご紹介します。
まず、企業価値を高めていくために実践すべきことをまとめている「デジタルガバナンス・コード」。DX実現を目指す企業が心得ておく事項をまとめております。
次は「DX推進指標」。これは自分たちのDXがどのレベルにいるのかを自己診断するツールです。DX実現に向けて何をすればいいのかわからないという場合は、まずは、自社の立ち位置を確認することから始めてみてはいかがでしょうか。
その上で、DX実現に向けた活動を促進させたい場合は、「DX認定」制度をご活用ください。DX推進の体制が整っている会社を認定する制度で、認定を受けるまでの動きがそのままDX実現に向けた準備につながります。
DXが実現した暁には「DXセレクション」へ是非チャレンジしてみてください。中小企業を対象としたアワードです。過去に受賞した企業の多くは、外部の専門家と意見交換をしながら進めています。もし外部の専門家とコンタクトをとる際は、経済産業省が「地域DX推進ラボ」というDX推進する支援機関をぜひご活用ください。

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続いて、近畿経済産業局が独自で行っている取り組みについてご紹介します。近畿経済産業局では、DXを「デジタル」と「トランスフォーメーション」の2つの軸で、必要な要素を5つに分解しました。この5要素に合わせた支援策を用意しています。
デジタル化の支援を目的に、近畿総合通信局と連携したデジタル施策の合同説明会や、サイバーセキュリティのセミナーやワークショップを開催しています。毎年10月を「関西デジタルマンス」と定めて強化月間を設けたり、関西の企業を対象とした「関西DXアワード」を実施したりと、変革に向けたきっかけづくりの催しを用意していますので、ぜひご参加いただければと思います。
変革のきっかけを掴んだ企業が、新たに始めるビジネスモデル案を磨きあげていく「DXゼミナール」も開催し、新事業戦略の構築もサポートしています。加えて、人材育成については、「デジタル人材育成プラットフォーム」を経済産業省が立ち上げています。興味があればご覧いただければと思います。

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最後に。本日は「DX」がテーマでしたが、まだまだ「ビジネスモデルを変える」領域には至っていない企業が多いかと思います。今からでも遅くありません。まずはデジタル化からでも構いませんので、変革に向けて歩みを進めてみましょう。

2.中小企業が知っておくべきデジタル化・DX推進のポイント

奥澤 崇 氏
(中小企業診断士/神戸市中小企業DXお助け隊・DXきっかけづくりお助け隊アドバイザー)

DXを進めるフローをご紹介

中小企業が知っておくべきデジタル化DX推進のポイントをご紹介させていただきます。
まずどうやってDXを進めればいいのか。これは本当に難しい問題なのですが、全てを自分たちで進めるのは難しいと思います。
私が実際に伴走支援をしていく中で一番メリットだと感じている部分が、「自社の業務を見える化させる」という部分。今まで、他部署のスタッフが何をしているのか、会社全体がどのような状況なのかを改めて考える機会というのはほとんどないと思います。これを見える化させることが会社の変革に繋がると感じています。

ではどのようにして現状を分析するのか。それは会社としての将来ビジョンを設定して、現実とのギャップを算出することです。このギャップを埋めるために何が必要かを考えていくのです。これを「要件の洗い出し」といいます。ここまで終わると実際に導入するツールの検討に入ります。これは経験も必要なため非常に難しい作業。そのためこの段階で支援機関や専門家の活用を検討すると良いかと感じています。

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DX成功のポイントは社内と外部の使い分け

ここでDX成功のポイントですが、自社の業務改善のための要件が描ける企業は、何か問題が生じた際に柔軟に対応ができる印象です。自社の業務をどうしていきたいのか、それを明確に描けて、どう改善するのかを考えられることが重要。手段については、専門家や支援機関に頼るのも良い形だと思っています。
実際にシステム導入を進めていく中で、もう一つ重要なのが人材の発掘です。「DX人材とはどのような人材なのか」とよく聞かれます。私は、経営者と同じ想いを共有している人材だと感じています。わからないことは外部の専門家を活用すれば良いと思います。

体制についてはDX推進を目的とする部署や担当者を明確にして、部門横断的な権限を与える必要があります。全体を考えて、適切な発想ができるように体制を整えてあげる必要があります。また核となる人材の育成はもちろん、次の世代となる人材も組み込み、世代交代後も業務を改善していける体制を作りましょう。

支援機関や専門家に何を聞けばいいのかという部分に関して、課題はわかっているが改善方法がわからない、もしくは社内で意見がまとまらないというケースが多いです。実際に専門家からの意見で整理されて、方向性が見えてくるという場合も多いので、困ったときに相談してもらえればと思います。

DX推進は、単なるシステム導入ではなく、システム導入を通じて自社を俯瞰的に見ることができるいい機会だと思います。ぜひ会社がいい方向に向かうためにも取り組んでいただければと思います。

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以上、2024年6月6日に行われた中小企業のDX最新状況とデジタル化・DX推進のポイントについて概要をレポートいたしました。
本Webサイトでは、ガイドラインにて業種別DX導入の取り組みやDX導入事例も紹介していますので、ぜひご活用ください。