DX セミナー&ニュース

【2024/3/14(木)開催】
神戸市中小企業DXお助け隊・DXきっかけづくりお助け隊 事例報告会

レポート

神戸市中小企業DXお助け隊・DXきっかけづくりお助け隊事例報告会では、伴走支援先企業2社とその担当アドバイザーより、伴走支援の様子などをご報告いただきました。

調剤薬局「株式会社ジャパンファーマシー」
スマートグラスの導入

弊社は関西圏で23店舗を展開している調剤薬局です。今年でちょうど40周年を迎えました。我々が関わる医療業界の非常に強い制限の中でデジタル化を推進しづらいのが現状でした。
弊社の主なサービスは2種類。一つは店舗へ処方箋を持ってきていただき、お薬をお渡しするサービス。もう一つは、ドクターが往診に行かれる際に同行。その後、施設様へお薬をお届けして、服薬指導をするサービスです。この2つ目のサービスが非常にアナログ。ドクターと一緒に処方提案をしなければならないため、日時指定が必須。また様々な施設に赴いて、患者様全ての部屋へ訪問しなければなりません。その後、処方箋のFAXをいただき、臨時薬があるならば、その日中に届けなければなりません。また処方箋に変更がある場合は、再度施設に赴き、説明をしなければなりません。

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ここでの課題は、稼働時間でした。通常薬局の業務に加えて、往診に同行しなければなりません。移動に30分かかると換算しますと、2往復しなければならずそれだけで約2時間のロスになります。そのため、往診の日時指定があった場合、当日の薬剤師の配置を増やさなければ対応できないのが現状です。現状では、薬局の外来業務が終わった夜に行っています。薬剤師に非常に負担がかかってしまっています。
そこでオンラインを使って遠隔指導する方法を考えました。弊社が取り入れたのは、カメラ、マイク、スピーカーが一体化したスマートグラス。これがあれば、薬剤師が実際に赴く必要がなくなり、また手がふさがらないため作業をしながら遠隔指導ができるようになりました。神戸市中小企業DXお助け隊事務局へは、助成金についてお問い合わせさせていただきました。そして、導入にあたって社長への提案について、費用対効果や資産効果などを、助言いただきました。

現在、オンラインシステムを使った服薬指導を行っています。医療事務のスタッフが現地へ行き、オンラインで指示をもらうことで、薬剤師は薬局に居ながら複雑な業務の代行が可能になりました。しかし認知症関係の施設様など、患者様が違う理解をしてしまう可能性があると、オンライン指導に対して否定的な反応をされることもあります。今後はこれらの課題をクリアにして、全業務をデジタル化。ヘルスケアサービスの創出など他のサービスにも展開していければと思っています。

松本アドバイザー:株式会社ジャパンファーマシー様は、DXに対してしっかりとした考えを持っており、取り組むべきことがはっきりしていました。そのため、神戸市中小企業DXお助け隊としては初期段階のアドバイスを中心に行いました。当社の業務課題は薬剤師が行う業務について対応数に限りがあるということ。そして特定の薬剤師の長時間労働の2つが上がっていました。一方でヒアリングを通して、ヘルスケア市場拡大に伴う競争激化、精度ビジネスが中心のため経営計画がたてづらい、という経営課題も見えてきました。これらの課題を整理した上で、まずは業務課題を解決する方向性となり、現在はスマートグラスの導入で、薬剤師の遠隔作業を支援する方向で進んでおります。また、導入した上で「業務・サービスがどのように変革するのか」「効果・結果がどういった形で現れるのか」の2点をなるべく導入前にイメージを掘り下げて整理しておくことが重要である点も確認し合い進めました。DXプロジェクトは、このように事前の十分な投資対効果の検討、IT予算を確保するための経営管理、小さな成功体験を重ねつつ継続的に取り組むことが重要なのです。

運送業「株式会社吉富運輸」
ドローンによる運送&バックオフィスのスマート化

弊社は昭和34年に創業して、現在約200名の従業員が働いております。事業内容は運送事業と倉庫事業、そして新規事業としてドローン事業を行っております。
まず運送業については、主に大型トラックを活用して運送を行っており、協力会社と連携し全国配送を行っております。次に倉庫事業ですが、東は埼玉から西は広島間にある自社倉庫や管理倉庫を活用し、お客様の大切な荷物を保管、在庫管理、入出庫管理を行っております。
運送事業の経営課題として物流の2024年問題があげられます。ドライバーの時間外労働が制限されることで、運送能力が不足することです。今年には約15%の運送能力が不足し、2030年には約35%の貨物が運べなくなると懸念されています。この問題解決に向けて様々な取り組みを行っておりますが、運送事業者だけでなく荷主や一般消費者にも協力をして頂き連携する必要があります。例えば荷下ろし時の待機時間の削減の為、予約システムの導入等を行う。DX化によって情報共有し業務効率化を図る。自宅に宅配BOXを設置する。まとめ注文による配達回数の削減。様々な取り組みが行われております。

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さらに弊社では、国内輸送の90%以上がトラックでの運送である現状に課題を感じて、新しい輸送手段を検討しており、2020年から物流ドローンの研究を行っております。2022年には、神戸港ハーバーランド~ポートアイランド間(2km)でコーヒーを運ぶ実証実験に成功し、テストマーケティングを行い確かな手ごたえも感じております。日常定期的に活用される物流ドローンは、災害時には救援物資の運搬や、人命の安否確認などにも役立つと考えております。そのため日常にドローンを組み込むため、安定した機体や離発着場、注文決済アプリなどの研究開発を推進しております。これを「エアグルメTakeOffプロジェクト」と名付け、現在ハードウェアについては、開発からテスト飛行期間に入っております。ソフトウェアについては、6月を目途に完成を目指しております。
運送・倉庫事業の事務作業については、会計システムを導入して、バックオフィスのスマート化に積極的に取り組んでおり、またシステムの導入や更新時に若手社員などをメンバーに加えてプロジェクト化して取り組むと、社内環境の変化にも繋がりより良い取組みになると考えております。
そこから新しい発想が生まれて「エアグルメTakeOffプロジェクト」が加速しドローン物流の普及促進に繋げればと考えております。

奥澤アドバイザー:ドローンを活用した運搬業務に取り掛かられた攻めのDXについて、しっかりとしたビジョンを持って推進していました。その一方でバックオフィス側は紙媒体を主体とした運用方法のため、様々な課題が残っていました。特に重要なのが決裁までの流れ。そこで「Free」というクラウドシステムの導入を検討されました。「Free」では会計システムはもちろん、標準装備で申請から承認までのフローをシステム上で行うことができます。これによってペーパーレス化に成功し、ヒューマンエラー防止にも役立ちました。しかしこれは全ての会社に適用されるわけではなく、基幹システムの導入については、条件を明確化して、自分たちに合うシステムであるかを採点して、吟味することが重要です。

以上、2024年3月14日に行われた神戸市中小企業DXお助け隊・きっかけづくりお助け隊 事例報告会の様子について概要をレポートいたしました。
本Webサイトでは、ガイドラインにて業種別DX導入の取り組みやDX導入事例も紹介していますので、ぜひご活用ください。