DX セミナー&ニュース

【2023/10/24(火)開催】
神戸市中小企業デジタル化セミナーレポート
「デジタルツールを活用した業務効率化のはじめ方」

神戸市中小企業デジタル化セミナーレポート 「デジタルツールを活用した業務効率化のはじめ方」

概要

日程 2023年10月24日(火)14:00-15:15
開催方法 オンライン(Zoomウェビナー)と会場のハイブリッド形式
現地会場 アンカー神戸
主催 神戸市
共催 神戸商工会議所

プログラム

1. デジタルツールを活用した業務効率化のはじめ方

2. kintoneをはじめとしたノーコード/ローコードツールのご紹介
※今回の事例は導入システムの一例として紹介しているものであり、特定のサービスを推奨するものではありません。

デジタルツールを活用した業務効率化のはじめ方

神戸市中小企業DXきっかけづくりお助け隊アドバイザーの中村 安男氏に、中小企業のデジタル化を進めるために必要な「実行ステップと現状業務の整理方法」について具体的な進め方とポイントを解説いただきました。

デジタルツールを活用した業務の効率化にはいくつかのポイントがあります。
まずは「DXとは何か」の話です。経済産業省DX推進ガイドラインの定義によると、DXはデータとデジタル技術を活用して製品・サービス・ビジネスモデルを変革すること、そして、業務や組織、プロセス、文化・風土を変革して競争優位性を確立することとあります。つまり、DXとはデジタル技術を活用して「全く新しくビジネスモデルを変える」「業務そのものを大きく変革する」この2つのポイントに定義されています。私はこのポイントから「新規事業DX」「業務DX」と2つあると考えています。

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本セミナーでお伝えしたい事は「業務DX」にまずは皆さん取り組んでください、ということです。一足飛びで新しくビジネスモデルを変革することはとても大変です。まずはデジタル技術を活用して自社の業務を抜本的に変革することから始めて、最後に新しいビジネスモデルをつくるという手順を踏まれる方が良いと考えています。

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とはいえ、現実、「業務DX」の取組にも壁がいくつかあります。1つは、変革後の業務プロセスを机上で設計するため、本当に効率化できるのか、楽になるのか色々な事が不確実な点です。もう1つは、業務を変革するために顧客や様々な部署を巻き込んで、既存のやり方を変えてもらう必要がある点です。これらを解消するための具体的な方法が「業務の可視化」です。業務を可視化して、どの部分でデジタル技術を活用できるのか、またどの部分が課題・問題なのかを認識しましょう。DX の失敗の原因の多くは、このビジネスの要求整理や現状分析に起因していると僕は思っています。業務の可視化は、昨今の業務複雑化によりとても難しくなっております。だからこそ、業務可視化のスキルはとても大事なことになっています。

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ではどうやって業務を可視化するのか、それはドキュメント化するしかないと考えています。実際に業務をドキュメント化するためのツールとして、①業務フロー図と業務フローをより具体化した②業務の一覧表を作成しましょう。それを下地にスタッフの共通認識としてイメージしていくことが大切です。
可視化ができれば、次は現状の業務を分析し課題を見つけていきます。その際に重要なのが「ECRS(イクルス)」という考え方。Eliminate排除、Combine結合、Rearrange入替、Simplify簡素化、この頭文字をとって「ECRS(イクルス)」と呼ばれています。
課題を見つける際に、現状の業務をまず排除(E)ができないか、次に別の業務と結合(C)ができないか。それもできないのならば順番を入替(R)れば解決しないのか。そして最後は手順を短くして簡素化(S)できないのか。このフレームワークに沿って、自社の業務の課題とその解決策を考えていきましょう。
たくさんの課題が出てくると思いますが、「業務量に対してシステム化をした場合はどの程度減るのか」というそれぞれの効果と実現難易度で優先順位をつけて、効果的なDX化を進めましょう。
最後に覚えてほしい言葉が「Quick win」です。優先順位づけに加えて、実施した際に目に見える効果があり、その効果が素早く効いてくる解決策があればそこから取り組んで下さい。実際に成果があがることで、抵抗感が下がり、施策全体を推進しやすくなるため、この「Quick win」という考え方は重視するようにしてください。

kintoneをはじめとしたノーコード/ローコードツールの紹介

ノーコード/ローコードツールについて、活用のポイントと具体的な導入事例を交えてBridge株式会社の樋口舞美様よりご説明いただきました。
※今回の事例は導入システムの一例として紹介しているものであり、特定のサービスを推奨するものではありません。

我々Bridge株式会社は、ノーコードツールを用いて企業様の業務システムの構築を行っている会社です。業務の洗い出しから、運用に必要な支援までを一挙に担っています。今回、お話しするのは、DXを進める上で重要な第一歩「デジタル化」の話です。

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これまで支援してきた企業様の中でデジタル化が進んでいない企業様には、3つの特徴があると考えられます。
1つ目が、社内の情報が共有できていないことです。例えば、営業職のスタッフが一人ひとりがエクセルを抱えているために営業の案件の進捗が管理できていない場合がありました。また共有できているけれど最新のデータがすぐに見つからない、といったスムーズな共有が出来てない場合もあります。
2つ目が、知りたいデータの見える化ができていないこと。ほとんどの企業様で会計ソフトや販売管理ソフトを導入していると思います。しかし商品分類別や担当者別、地域別での売り上げなど、それぞれが確認したい項目でのデータ化が出来ていない場合があります。
3つ目が、ヒトが情報を集める、整理する、手計算していることです。これらの3つの課題点が残っている企業は多いと思います。DX化を進めるうえでデータ活用は必要なため、これらの課題の解決を早く進めることが必要です。
とはいえ、自社の業務は特殊です。例えば製造業の受注管理について、同じ業種の企業であっても業務フローが異なっていると思います。そういった形の違う課題を解決させるシステムが、ノーコードツールになります。プログラミングを書かなくてもシステムを開発できるツールです。様々な種類がありますが、今回は便利な3つのツールと、少し面白いツールをおまけで紹介します。

kintone

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最初は「kintone」というアプリ。このアプリ、私はスマホのようなものだと考えています。スマホは電話ができるだけでなく、メールも見れて、音楽が聴けて、本も読めるなど、ジャンルの違うアプリを1つの箱の中で処理しています。kintoneもこれと同じで、受注管理や日報、在庫管理など、異なる業務を1つで管理できるものです。 実際にkintoneを用いてどんな事ができるのか事例を紹介します。
1つ目は、製造業の受注管理から請求書発行までの流れをkintoneで全て一元化した事例です。受注がきたらkintoneで作成した受注・発注管理アプリに全て入力し、締め日になると請求書が自動発行される仕組みをつくりました。また、受注の情報をkintone上で可視化し製造スケジュールも作成しました。これによりお客様からの要望の共有漏れがなくなり、納品スケジュールの管理が簡単になりました。2つ目は、kintoneを導入し作業着発注などの社内の申請業務をシステム化した事例です。申請業務に33時間/月かかっていたところ、1時間に減った事例でもあります。kintoneはスマホやタブレットからでも開けるので、申請者がどこにいても容易に申請できるのです。
この他にも様々な業務に合わせてカスタマイズできるのがkintoneの強さなのです。

Notion

2つ目のツールは「Notion」です。これはいろんな形の情報を一つの場所で管理できるというツールです。例えば案件管理について、担当者や会社名などのステータスを登録します。するとA社のページを作ることができ、そこに提案書などのPowerPointデータやエクセル、PDFなどを一緒に管理することができます。またタスクの締め切りなどを設定しておくと、カレンダーベースでデータを閲覧できたり、優先度を設定すれば絞り込みでの検索も可能です。
kintoneやNotionのようなツールを活用することで、社内の業務を管理する場所をまとめて、情報を共有しやすい環境をつくり、かつデータを貯めていくことがデジタル化を進める上での重要な1歩だと思います。

Yoom

次はジャンルを変えたツール「Yoom」をご紹介します。チャットツールやカレンダーツールなど、様々なツールを連携して独自の自動化フローを作成できるツールです。例えば見積書をPDFで発行すれば、それをメールでお客様へ送りますよね。この一連の作業を自動化してくれます。このような一連の動作について、テンプレートも用意されているため、導入も簡単なのが魅力です。

Quden

最後に紹介するのは、業務のデジタル化に必須ともいえるマニュアル作成を補助してくれるツール「Quden」です。例えばkintoneで業務を一元化しても、継続した運用を行うためにはルールが必要です。Qudenでは、画面を動画としてキャプチャできるため、kintoneでの受注管理の方法を録画すれば、それがマニュアルに早変わり。さらに音声を入れることができるので、より詳しいマニュアルが作れます。またマニュアル一つひとつにリンクが発行されるため、Notionなどのデータ一括管理ツールで管理をすれば、全社員がすぐにマニュアルを確認することが可能になります。このようにkintoneやNotionなどと併用したいツールがQudenです。

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これらのツールを導入するのは、簡単そうに見えますが、そう甘くはありません。きちんと自社の業務を可視化して課題点をはっきりさせることがとても重要です。そして、社内の情報が共有できる場所を作り、知りたいデータを見える化、そのデータを集めて整理して計算する。こういったデジタルが得意とする部分をデジタルに落とし込むことが、ノーコードでデジタル化を始めるコツであると思います。

以上、2023年10月24日に行われた神戸市中小企業デジタル化セミナー「 デジタルツールを活用した業務効率化のはじめ方」について概要をレポートいたしました。
本Webサイトでは、ガイドラインにて業種別DX導入の取り組みやDX導入事例も紹介していますので、ぜひご活用ください。